幹工務店のスタッフのイチオシの素材やインテリア用品などを幅広くご紹介するコーナー。
今回は、工事部長・角津の「推し」をご紹介します。
目次
私が自然素材を推す理由
私は、家づくりのときに自然素材を用いることをおすすめします。自然素材の魅力は、既製品にはない表情のゆたかさがあること。工業製品は、製品の均一化を図らなければならないので、どれも性質や仕上がりが同じですよね。でも、自然素材は仕上がりや色、風合いがそれぞれに異なるし、日当たりの具合などによっても表情が変化します。
また、建材を使う場合は、熱変化や収縮変化、施工性の向上などを図るために、商品に加工を加えたり、化学薬品を用いたりする場合がありますが、元の素材にそういうものを加えていくと、素材本来の性質・表情が失われてしまうので、建材メーカーさんはそういうところを苦労して研究を進めています。本当に無加工の自然素材であれば、確かに表情も豊かで、人の体にも優しく、素晴らしいと思いますが、実際に材料として使うとなると、いかに施工しやすくするか、いかに性質を安定させるか、いかに商品を均一化するかということを考えざるを得なくなるのです。
例えば、農家だと農薬を使わないのが良しとされますが、建物の場合は、自然素材を外装にそのまま使うと、(高温多湿な日本では)カビが生えてくる可能性もあります。どんなに経年変化や風合いを楽しめても、カビが生えても平気でいられるかというと、ちょっと迷いますよね。つまり、自然素材としての価値と、建物に使う建材として求められる性質・価格を天秤にかけ、どの程度で折り合いをつけるかという判断が、メーカーにとっても、それを選択する私たちにとっても、難しい課題だと思います。
さらに、自然素材は工業製品よりも高額なので、予算に限りがある中で、すべてを自然素材にするのは難しいかもしれません。とはいえ、クロスやフローリングやエコカラットなど、どの家にも使われている均一的な素材ばかり使うのは味気ないので、自然素材をアクセント的に用いて、個性や特徴づけをするのがいいと思います。
推しの自然素材①ウォルナットの無垢床
実際に自然素材を使うとしたら、個人的な意見ですが、まず推したいのがウォルナットの無垢床です。ウォルナット色は当社の若林モデルハウスのキッチンなどに使われていますが、色が濃いので重厚感と高級感が得られます。また、床に濃い色を使うと空間に安定感が生まれるので、白い壁との相性も抜群です。
推しの自然素材②自然素材の塗り壁
塗り壁は種類が豊富で、よく使われるのは、オンザウォールや漆喰、珪藻土などですが、商品化されたものには、安定性やカビ防止などを目的に何かしらの化合物が入っているものが多いので、前述のように、どの程度までを良しとするか、どこまで自然素材にこだわるかといった判断によって選ぶ必要があると思います。
そんな中で私が最近注目しているのは、貝殻やサンゴなどをリサイクル利用した漆喰です。貝殻は、壁材にした時の性能の高さはもちろん、本来であれば産業廃棄物として捨てられるものをリサイクルしているため、自然環境にやさしい点が特徴です。有機物のバインダー(つなぎ)なしで固まるので、化合物を加えずに済み、体に優しいのが魅力です。さらに、経年劣化が少なく長持ちすることや、不燃材料なので防火性が高いこと、吸湿性や消臭性、抗菌性などにも優れています。
インドではプラスチックのゴミをアスファルトにする技術が確立されていますが、通常なら廃棄物として処理される貝殻を塗り壁に採用することも、それと同様にSDGsに貢献できる取り組みだと思います。しかも、貝殻が含まれているということで話題性もあり、会話の種になるのもメリットではないかと思いますね。
推しの自然素材③石のアクセントウォール
私は自然が好きで、庭石などにも興味があるのですが、例えばリビングのアクセントウォールに石を張るのもおすすめです。石は一つ一つ厚みも凸凹感も異なるので、平面的な壁に変化が生まれるし、照明を当てるとテクスチャーの陰影がランダムに出るので、いっそう表情豊かになります。リビングだけでなく、玄関の正面の壁や、キッチンの腰壁などに用いるのもおしゃれですね。
まとめ
ヨーロッパでも日本でも、古い建築物を見学しに大勢の人々が訪れるのは、木や石などの自然素材が経年によって味わい深さを増し、建物自体にいっそう価値と趣きが増すからだと思います。
私たちの住まいも、自然素材を用いることで、歳月と共に味わいが増し、経年変化を楽しみながら愛着を深めることができます。皆さんも家を建てる際には、自然素材をアクセント的に採り入れてみてはいかがでしょうか。
また、自然素材を用いた若林モデルハウスもご見学いただけます。
現場監督:角津則人